京都市内からこの地京北・恋月に暮らし始めて 40年近く　ゆったりと暮らすのが目的だった 築100年ぐらいの茅葺きの農家に手を入れながら 大地に立つ家とはどういったものなのか エネルギーとは 水道とは　雨が降り　雪がつもる環境とは　虫や鳥・・・ などなど様々な学習をさせてもらった　歴史　政治 コミュニティーとは？ しかし何よりも野菜づくりにすっかり はまってしまった　そして植物との関係は地球を考える 入口となった  外にいる時間が長くなると昆虫や鳥の 生態も少しは見えてくる　驚き納得させられることが 大きな喜びだった 地球上には様々な風土がある　人はその一部分である 自然であるとは何か　答えは見つからない

平瀬 敏明 略歴 1949年　

大阪府豊中市生まれ 京都教育大学 工芸科専攻卒業後、風の彫刻家 新宮 晋に師弟 京都造形芸術大学(現：京都芸術大学）空間演出デザイン学科准教授として教鞭 退任後、京都京北町恋月のアトリエ兼自宅にて創作活動を行う 2020年　恋月の地にて逝去

京都の山間に位置する京北町恋月のアトリエに踏み入って途方にくれる。 父にとって習作と本作の区別はないようで、作品は興味のおもむくまま何かの素材に変わっていく。身の回り全てのものが素材であるらしく、アトリエにゴミ箱はない。どんな手応えを感じて作り続けてきたのか、理解するには時間がかりそうだ。故に荒っぽくも、 創作の一部を見て頂く試みであり、めくるめく「 恋月宇宙 」を楽しんで頂けると幸いです。石崎 唯